NARU [南出メリヤス]



日本の女性のための服」を追求するファクトリーブランド

みなさんは普段、どんなブランドの服を着ていますか。大量生産で低価格のファストファッションも普段使いには便利ですし、セレクトショップで一目惚れしたよく知らないブランドの服だったり、ここぞという時に着るためのお気に入りのハイブランドだったり…世の中には様々なブランドが存在しますが、その多くが企業が様々な下請け会社や工場に生産を発注して、複雑な分業体制の下、時にはいくつもの国を飛び回ってそれぞれの工程を経て作られています。有名ファッションブランドが発展途上国の工場で不当な労働力の搾取や、人権侵害に近い行為に関与しているという報道がなされたのも記憶に新しいですね。

それらとは対照に、ここ数年注目されているのが「ファクトリーブランド」と呼ばれるブランド群。その多くは元々企業から生産を請け負っていた工場が独自にオリジナルのブランドを立ち上げたもので、工場直営だからこその品質の高さや、工場ごとのオリジナリティ、さらに流通にかかる費用の低さによるコストパフォーマンスの高さなどが人気で、最近ではファッションに限らず様々な分野で実践されている手法です。

現在では日本のファクトリーブランドも数多く存在しますが、昭和の時代から同様の取り組みを続けてきた先駆け的存在が、大阪は泉大津市にある南出メリヤス株式会社。同社は60年以上、婦人服専門メーカーとして一貫した国内生産にこだわる老舗です。
本当に日本の女性のことを考えた服を作るために、日本国内で、できるだけ日本の素材を使用して、ミシンや裁断機などの機材も日本のものを使用する。徹底して日本製にこだわる南出メリヤスの服は長年にわたって多くの日本の女性に愛されてきました。

今回は南出メリヤスの手がけるブランドの中でも人気の高いNARUについて、その裏にある想いや歴史、服作りへのコダワリについて、NARUの代表を務める、南出メリヤスの南出 仁嗣さんにお話を伺ってきました。

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NARUについて

「女性の生活に彩りを」

– 南出メリヤスさんのこれまでや、NARUを立ち上げるに至った経緯をお聞かせください

南出メリヤスは1953年に小さな肌着メーカーとして創業しました。しばらくすると他社の下請け生産や今でいうOEM的な製造も手がけるようになったのですが、当初は設備も最低限でやれることをやっていたという風に聞いています。そんな中で、やはり社会の役に立ちたいという思いが強くなり、女性向けの衣料を多く手がけていたことから「女性の日々を豊かにする服を作りたい」「女性の生活に彩りを添えられるメーカーでありたい」と、今から40年以上前の1980年にはオリジナル商品製造のための企画部を立ち上げています。
最初の頃は肌着の製造経験を活かしたカットソーの製造販売を主に行っていましたが、それだけでは「女性の生活に彩りを」という思いは実現できない、トータルでコーディネートを提案できるブランドになりたいということで、徐々に色んな機材を導入したり職人さんを招き入れて、製造できる商品を増やしていきました。その甲斐あって、おそらくですが日本初、女性のファッションをトータルで製造できるファクトリーブランドになったと認識しています。最近はわかりませんが、当時のファクトリーブランドは、カットソーだけは自社で生産してその他は結局外注というようなところも多かったようですので。

60年前の工場の様子

– 想いを実現する力、その結果の日本初はすごいですね…
– NARUというブランドはいつ立ち上げられたものなのでしょうか

NARU自体は2008年に立ち上げたブランドです。それまではいわゆる婦人服、ミセス向けの服を多く手がけていたのですが、カジュアルにいつでも着られるような服を作りたい、もっと若い人にも南出メリヤスの製品を使ってもらいたい、ということで立ち上げたのがNARUです。
最初は分からないことも多く苦戦しつつではありましたが、小規模な工場ならではの企画〜開発〜生産のスピード感を活かしたマーケティング活動や、オンラインストアの展開など試行錯誤を重ねて、今ではある程度多くの方々に愛していただけるブランドになったと思っています。もちろんまだまだこれから、もっと多くの方に私たちの洋服を着ていただきたいと思ってますけどね。

想いとコダワリ

徹底的な「日本製」と「自社製造」

– NARU、南出メリヤスさんでは日本製であることに非常にこだわっていらっしゃるようですが、それはなぜでしょうか

私たちが創業から今までそれでやってきたから結果的に、というのももちろんあるのですが、やはり日本の女性のことを真剣に考えた結果であるとも思います。やはり日本の女性には日本の素材が一番合うでしょうし、昔から日本の女性のための服を作ってきた職人さんが、日本の洋服作りのために作られた機材を使って作った洋服が日本の女性にとって一番フィットするというか、着心地良く、それこそ生活に彩りを添えられるものだと信じている、というのは大きいですね。

それに加えて、創業当時からある種小さな町工場的な存在であったことから、やはり地域や日本に貢献したいという思いもあります。雇用創出的な面ももちろん、職人さんや他の工場とのつながりはやはり大切にしていきたいですし、ひいてはその地域の活性化に繋がってくれればとても嬉しいことですよね。

最近は日本製を謳いながらも、染色だけ日本で行うですとか、ひどい場合はタグ付けを国内で行っただけとか、そういう商品も残念ながら見受けられます。もちろん経済的な面でどうしてもそうせざるを得ない場合もあるのかもしれませんが、「日本製というブランド」を利用するだけではなく、しっかり着てくださる方々のことや、洋服作りに携わる人々のことを考えた上での日本製であって欲しいですね。

– 具体的に、技術や品質の面で、日本製であることの価値とはどういうものでしょうか

とても曖昧な言い方になってしまいますが、総合的な品質、そしてなによりも仕事が精密で丁寧であるということが一番だと思います。例えばニットですと工場ではもちろん機械で編むのですが、機械に糸を通してスイッチを押せばいいというわけではなくて、実は頻繁に緻密な、0コンマ数ミリ単位の調整が必要なんですね。そういったところも実に丁寧に、正確に何度も行える技術やあるいは日本人ならではの性格や精神性のようなものもあるのかもしれません。

また縫製の技術も日本は非常に高いと言われています。もちろん海外にも高い技術を持った方はいらっしゃるのですが、数は少なくハイブランドに偏りがちです。日本では広く高い技術が普及しているので比較的安価でも高い品質を維持できるというのは強みかなと思います。
他にも様々な生地の種類に応じた裁断や縫製のやり方に機材の使い分け、裁断から検品に至るまでの管理の徹底や丁寧さなど、日本の技術じゃなければできないことは多くあります。また今となっては海外製のものが身の回りに溢れる時代となりましたが、それでも上記の技術や丁寧さからくる国内産/日本製への信頼や安心感というものはまだ強くあるのかなとも思っています。

– お話を伺うと、やはり日本製っていいものなんだなと少し安心感のようなものがありますね
– 日本製の中でも、NARUだからこそのコダワリなどはありますか

やはり全工程を一貫して弊社で行っているというのは強みだと思います。商品の企画からデザイン、生地の調達から裁断、縫製、検品、発送…と全ての工程を自社で行なっているので、当然商品に係る責任は全て私たちにあり、だからこそ丁寧で本当に品質の良いものを作ることができるというのはありますね。
(※一部商品を除く:近隣の町工場と連携して製造している商品もあります)

併せて工程間の連携も大きなポイントで、例えばデザイナーやパタンナーと製造現場の連携が取れる、この商品はここが大事だからこういう方法でやった方がいいんじゃないかな、というコミュニケーションの結果としてより良い製品が産まれる、ということはよくあるかなと思います。
新しい商品を開発する場合でも、各工程が密接に連携していることから、企画〜検証のサイクルをとても早いスピードで回せますし、企画開発サイドから現場へはもちろん、現場から企画へのフィードバックなども日常的に発生しているので、高い精度の商品開発ができているように感じます。

これはちょっとした自慢なんですけど(笑)、NARUの立ち上げ当初から「NARUの服はとても着心地がいい」と言っていただくことは多く、それは本当に励みになっていますし、今までお話ししたような努力や技術の積み重ねなのかなと感じて嬉しく思っていますね。

NARUが考える未来

日本一のファクトリーブランドへ

– 日本製や自社製造への想いとその実現は本当に素敵なことですし、尊敬します
– 一方でそれらを続ける難しさというものもあるのではないかと思いますがいかがでしょうか

おっしゃる通りで、難しい部分は多くありますね。まず価格競争力や経済的な面で、海外の安価な労働力を使っている大手ブランドと戦う難しさはありますよ。特に弊社はハイブランドではないので、日本製や自社製造にこだわりながらも、競争力のある価格にするにはどうしたらいいのか日々考えています。ただそこはやはり、工程の省略や仕事のクオリティを落とすのではなく、選択できる範囲で工程を合理化し突き詰めることで、お客様に喜んでいただける価格で商品を提供しようとしてますね。

また先程、各工程の連携が取れているのが強みという話をしましたが、それは今だから言えるような部分もありまして。やはり全体の管理の難しさ、生地/裁断/縫製/副資材の管理、そして人材の管理や職人の確保といったところに関しては未だに社として難しさを感じているところではありますし、日々より良くしていこう努力しています。こういった部分が難しいので、多くのブランドさんやアパレルメーカーさんが自社製造を行えない理由でもあると思います。
特に人材、職人の確保というところでは、本当に職人さんの高齢化が進んでいてなんとかしないといけないと考えているところです。弊社だけの問題ではなく、日本のアパレルメーカー全体の問題だと感じています。まずはできるところからですが、後継者育成のために若い人材を採用したりですとか、地域の学校の見学の受け入れや交流を通じて、多くの人に洋服の製造や縫製への関心を持っていただこうという取り組みも行なっています。

– 外国からの研修生の受け入れも行なっていらっしゃいますよね

そうですね、今はベトナムからの研修生を多く受け入れています。今後日本国内での外国人労働者比率が増えていくことを見越してというのもそうですし、彼女たちに日本の高い縫製技術を伝えて、それで母国に戻って工場やお店を開いたりと、日本への貢献ではないですが、広い意味で少しは社会のお役に立てているのではないかと思います。私たち日本人のスタッフともとても仲良くしてくれて、おかげで日々楽しくやれているというのもあります。 

最後に、NARU、南出メリヤスさんが思い描く未来を教えてください

まだまだ道は長いですが、日本一の国産ブランド、ファクトリーブランドになる、ということに尽きると思います。これまで通り日本製や自社製造にこだわっていい商品を製造することはもちろん、多くの人にNARUを知ってもらって、愛していただけるブランドになるというのは最大の目標ですね。
「女性の生活を豊かに」という想いですので、ハイブランドのような高価でかしこまった服を作るわけではなく、日々の生活に寄り添えるような、いつでもどこでもお客様と一緒にいられるような、特別じゃない日をほんの少しだけ特別にできるような、そんなブランドを目指して洋服を作っていきたいと思います。

– NARUさんや南出メリヤスさんのことはもちろん、改めて日本のモノづくりの素晴らしさを感じられるような素敵なインタビューでした。これからも素敵で愛される洋服づくり、楽しみにさせていただきます。本日はありがとうございました。

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